今回は、最もシンプルで、最も安価で、そして、私たち人間が生きる上で、最も根源的な要素について、深く話したいと思う。
それは、あまりにも当たり前すぎて、多くの人がその本当の価値を見過ごしてしまっているもの。
そう、「水」。
今日は、ただの水分補給じゃない、私たちの美と健康のレベルを、根底から引き上げるための、「究極の水の飲み方」について、このシリーズの締めくくりとして、丁寧に語っていきたい。
正直に告白すると、私はかつて、水をほとんど飲まない人間だった。
喉が渇けば、コーヒーか、甘いカフェラテか、ハーブティー。食事中も、お茶を飲むのが当たり前。「わざわざ、味のない水を飲む意味が分からない」。本気でそう思っていたんだ。
でも、このシリーズで紹介してきた、どんな美容法、どんな食事法も、その効果を最大限に発揮するためには、ある一つの絶対的な土台が必要不可欠であることに、私は気づかされた。
それが、十分な水分で満たされた、潤いのある体。
スーパーモデルのエル・マクファーソンは、「美しさの秘訣は?」と聞かれ、真っ先に「水。1日に3リットルは飲む」と答える。女優のジェニファー・アニストンもまた、1日を通して大量の水を飲むことを、長年の美の習慣としている。
なぜ、彼女たちは、これほどまでに「水」にこだわるのか。
それは、水が、私たちの体を構成し、機能させる、すべての生命活動の「舞台そのもの」だから。この舞台が乾ききっていては、どんなに素晴らしい役者(栄養素)が登場しても、最高のパフォーマンスを演じることはできないんだ。
私がたどり着いた結論は、こう。
美の最終結論は「水」にあり。デトックス、代謝、潤いのすべては、究極の水の飲み方から始まる。
私たちは、体の約60%が水分でできている。
この体内の水は、ただ私たちを満たしているだけじゃない。
栄養素を細胞の隅々まで運び、老廃物を回収し、体温を調節し、代謝という名の無数の化学反応を仲介する。まさに、生命維持のための、最も重要なインフラ。
このインフラが機能不全に陥っているのに、高価なサプリメントを飲んだり、特別な食事法を試したりしても、その効果は半減してしまう。
砂漠に、一滴の美容液を垂らすようなものかもしれない。
まず、やるべきこと。それは、乾ききった大地を、清らかな水で、潤すことだったんだ。
じゃあ、その「究極の水の飲み方」とは、一体何なのか。
それは、「量」「質」「タイミング」という、3つの鍵を理解することから始まる。
鍵1:量(How much?)- どれだけ飲むべきか
「1日に2リットル」という言葉を、よく耳にするよね。
でも、これはあくまで一般的な目安。よりパーソナルな必要量は、**「体重(kg)× 30〜40ml」**で計算するのが良いとされている。
例えば、体重50kgの人なら、1日に1.5リットルから2.0リットルが、一つの目安になる。
そして、最も重要なのが、**「一度にがぶ飲みしない」**ということ。
喉が渇いたからといって、500mlのペットボトルを一気に飲み干しても、体はそれをうまく吸収することができない。処理しきれなかった水分は、ただ尿として、すぐに排出されてしまうだけ。
理想的なのは、**「ちびちび、こまめに飲む」**こと。
コップ一杯(150〜200ml)の水を、1時間から1時間半おきに、一日を通してコンスタントに補給していく。
そうすることで、体は常に潤った状態をキープでき、細胞の隅々まで、水分を行き渡らせることができるんだ。
私は、デスクに1.5リットルの水筒を置いて、午前中に半分、午後に半分、と決めて飲むようにしている。そうやって、飲む量を「見える化」すると、意外と無理なく続けられる。
鍵2:質(What kind?)- どんな水を飲むべきか
次に、どんな水を飲むか。これも、すごく重要なポイント。
- 基本は「常温」の良質な水
まず、大前提として、キンキンに冷えた水は避けるべき。冷たい水は、内臓を直接冷やして、血行を悪くし、代謝を低下させてしまうから。特に、朝一番や、食事中に冷たい水を飲むのは、胃腸の働きを弱めてしまうので、あまりおすすめできない。基本は、常温。もしくは、白湯。 - ミネラルウォーター(硬水と軟水)
日本の水は、ミネラル含有量の少ない「軟水」がほとんど。口当たりがまろやかで、飲みやすいのが特徴。
一方、ヨーロッパなどに多い「硬水」は、カルシウムやマグネシウムといったミネラルが豊富。マグネシウムには、便を柔らかくして、お通じを良くする働きがあるから、便秘に悩んでいる人は、硬水を取り入れてみるのもいい。ただ、胃腸が弱い人は、お腹がゆるくなることもあるから、少しずつ試してみて。 - アルカリイオン水
私たちの体は、ストレスや不摂生な食生活で、酸性に傾きがち。体の「酸化(サビ)」は、老化の大きな原因。アルカリ性の水は、この酸性に傾いた体を、中和してくれる働きがあると言われている。エル・マクファーソンが、アルカリ性の食事法を徹底しているのは、この体のサビを防ぐため。 - レモンウォーター
これは、ミランダ・カーの朝の習慣として、あまりにも有名。朝の白湯に、新鮮なレモンを数滴絞って飲むだけ。ビタミンCの補給になるのはもちろん、クエン酸が体内のデトックスを促し、体をアルカリ性に傾けてくれる。味も爽やかで、一日を気持ちよくスタートできる。 - シリカ水(ケイ素水)
最近、注目されているのがこれ。シリカ(ケイ素)は、コラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸といった、肌のハリや潤いを保つ成分を結びつける、接着剤のような役割を果たすミネラル。髪や爪を丈夫にする効果もあると言われている。シリカも、年齢とともに体内から減少していくから、水で手軽に補給できるのは、すごく魅力的だよね。
鍵3:タイミング(When?)- いつ飲むべきか
そして、最後に、いつ飲むか。
体にとって、特に水分補給が効果的な「ゴールデンタイム」がある。
- 朝、起きてすぐの一杯
これは、絶対に欠かせない。寝ている間に、汗や呼吸で失われた水分は、コップ一杯分以上とも言われる。カラカラに乾いた体に、まず一杯の常温水、もしくは白湯を流し込む。これが、眠っていた胃腸を優しく起こし、最高のデトックスのスイッチを入れてくれる。 - 食事の30分前
食事の直前に水を飲むと、胃酸が薄まって消化に影響が出ることがある。でも、30分前の一杯は、胃の働きを活性化させ、さらに、適度な満腹感を与えてくれるから、食べ過ぎの防止にも繋がる。 - 入浴の前後
入浴中は、思っている以上に汗をかく。お風呂に入る前にコップ一杯、そして、上がった後にもう一杯。これは、脱水を防ぐだけでなく、血行が良くなった体で水分が巡ることで、デトックス効果をさらに高めてくれる。 - 寝る前の一杯
寝ている間は、水分補給ができない。その間に血液がドロドロになるのを防ぎ、睡眠中の脱水を予防するために、寝る前にコップ半杯ほどの水を飲むのがおすすめ。ただし、飲みすぎると夜中にトイレに行きたくなって、睡眠の質を下げてしまうから、量は控えめに。
はい、今日のまとめ。
このシリーズで旅してきた、様々な美容法の効果を、最大限に引き出すための、全ての土台。
それが、「究極の水の飲み方」。
- 量:「体重×30〜40ml」を目安に、こまめに飲む。
- 質:「常温」を基本に、目的に合わせてミネラルウォーターやレモン水などを選ぶ。
- タイミング:「朝イチ」「食事前」「入浴前後」「就寝前」のゴールデンタイムを意識する。
高価なサプリメントや、ストイックな食事法を始める前に、まず、この最もシンプルで、最も安価な美容法を、見直してみてほしい。
乾いたスポンジが水を吸い込むように、あなたの体は、きっと素直に、その潤いに応えてくれるはずだから。
ふぅ。
全10回にわたる、この新シリーズ「海外セレブの美の秘密」。
ここまで、私の長く、そして時にマニアックな探求に付き合ってくれて、本当に、心の底からありがとう。
この旅を通して、私が一番伝えたかったこと。
それは、美しさの答えは、一つじゃない、ということ。
そして、その答えは、遠いどこかにあるのではなく、いつだって、自分自身の内側にある、ということ。
グルテンフリーが合う人もいれば、合わない人もいる。
コンブチャが大好きな人もいれば、苦手な人もいる。
大切なのは、知識を鵜呑みにするんじゃなくて、それを「コンパス」にして、自分の体と対話しながら、自分だけの「心地いい」道を探していくこと。

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