
ポン・ジュノ監督の最新作、ミッキー17を鑑賞してきました。
監督の残したいメッセージと、VFX・CGへのチャレンジが感じられて面白い作品だった。
流石あのグエムルやパラサイトを作った人、カメラワークが天才。
自分が感じた、映画の個人的な考察を以下にまとめました。
ヒトラーとゲッペルス

マーク・ラファロ演じるマーシャルは元米国議員で大統領選挙に2度も落選の後「選ばれた人間のための星を!」と地球から逃げ、指導者として別の星へ移住志願者達とともに旅立つ。
マーシャルとその妻、そして側近の〜のおバカ悪党ぶりが良かった。
金と欲に塗れて汚くなった大人ってこうなるよね、特に歯とかインテリアとか。
おそらくマーシャルと側近は、ヒトラーとゲッペルスのオマージュ。
中身の無さ・弱さをプライドと虚勢、演説の饒舌っぷりで取り繕うマーシャルと、その軌跡をいかに勇敢な姿でフィルムへ収めるかだけを考えている側近。
まさに、これまでも様々な作品でオマージュされてきた、プロパガンダに必死のヒトラーとゲッペルスでした。
優生学
マーシャルは優秀な容姿と成績を持つ女性・カイに「より優れた遺伝子を持つ君は貴重だ。君の遺伝子が必要だ」という旨のゲス話を持ちかけます。それに対してカイは「私はただ子宮としかみられていないのか?」と憤怒。
より良い遺伝子を。そうでなければ粛清を…
これもヒトラーの支持していた思想に重なる。
おまけにマーシャルには熱狂的なファンまでついている。
マーシャルはトランプ大統領のオマージュでは?という意見もあるけど、私はすごくヒトラーと重なった。ちょび髭はないけれど、マーシャルの部下のユニフォームに入っていた刺繍が鉤十字にそっくりだったのも、そう確信に至った部分。細かい描写に尊敬。
テクノロジーの濫用
クローンですとか、ヒューマノイドですとか、ずっともっと未来の話だろうと思っていたテクノロジーがどんどん実現しているが、ポン・ジュノはこの作品を通してその進歩に警鐘を鳴らしている。
ロバート・パティンソン演じるミッキー・バーンズがもう一人の自分と画面に二人で映るシーンでは、もう映像の不自然さや合成感など一切無くて、今世の映像技術がいかに高いものであるかを実感させられた。
この現実世界における映像上のクローン技術と、ミッキーという何度でも生き返る(代わりの自分がいくらでも居る)という設定が見事にシンクしている点が凄い。
もう、”本当の自分”なんて必要なくなっちゃう未来が来るのかもね。と映画のシナリオだけでなく、実際にここまで合成技術が進んでいることを目の当たりにし、ゾクッとした。
持たざる者の逆襲
マカロン店の事業に失敗して借金取りから逃れるために地球を脱出し、何度でも死ぬクローン人間「エクスペンダブルズ(使い捨て人間)」になる事を決めたミッキーは、いわば”無敵の人”。
養う家族もいなければ仕事も金も無い。恋人もいない。
さらには幼少期の酷いトラウマを抱えて生きてきた心の弱い人間。
そんな無敵の人が覚悟を決めた時の行動力は、とてつも無い威力を発揮する。
無敵の人がテクノロジーの進歩によってどんどん増えていくことが予想される今、人権や生命倫理にいま一度問いかけるメッセージ性を感じた。
人類の目指すべき未来とは一体なんなのか?
本来そんなものは無いと分かっていても、自分の使命ってなんだろう、自分の人生ってなんだろうと改めて考えるきっかけになる作品でした。

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